ギークハウス藍住の夜。PART2
ふと見ると椰子の木が。
徳島は、どこか植物が南国風で爽やかだ。
椰子の木を見ると、日中の暑さもなぜか親しみを帯びてくるから不思議だ。
帰り道に何げなく、駅前のそごうに寄った。
8Fのロフトと紀伊國書店に立ち寄る。
ぶらっと見て回っただけだったが、それだけでも楽しいものだ。
買えばもっと楽しいのは分かっているが、旅先ではあまり物を買わないようにしている。
物がかさばるから、という理由もあるが、つい衝動買いをしてしまうからだ。
そごうは早々に後にした。
徳島駅からJRに乗る。連絡は奇跡的に早かった。
ギークハウス藍住に早めに帰り着いた。
道には迷わなかった。
街並みが意外と印象的だったからだ。
近くにローソンとマルナカというスーパーがあるし、
ラーメン屋や蕎麦屋、居酒屋など必要な施設は揃っている感じだ。
帰り着いてからまずしたことはシャワー。
歩くことが多かったので汗をかいた。
それから洗濯。
特にズボンが汗まみれだったので洗いたかった。
それらを済ますと少し時間があったので、外をぶらついてみようと玄関へと向かった。
すると、ぎー、と音は出ないが玄関のドアが開き、見知らぬ青年が立っているではないか。
向こうは向こうで知らない人が立っているのに驚いたようで、目をぱちくりさせていたが、どうやらぼくがここへ来ることは知っていてくれたみたいだ。
彼:ギーマニから来られたんですよね?
ぼく:そうです、そうです。
彼:どこか行かれるんですか?
ぼく:ちょっとそこまで飯でも食いにいこうか、と。
彼:この辺、けっこう色々ありますよ。
・・・とまだ色んな事を話したがうろ覚えだ。
彼は松井君といった。
フリーペーパーでライターを一時期していたそうで、面白い文章を書く。
後述する花火大会の様子を動画で撮影していたのも彼だ。
適当に話をして別れた後、徳島ラーメンが食べたかったのでぶらっとその辺を歩いてみた。
多分、佐々木君は遅くなるだろう。そうすると、食事は遅くなる可能性が高い。
「喰えるときに喰う」
が信条のぼくは腹が減っているときに食べることにしている。
逆にいうと腹が減らなければ食べなくても良いのだ。
そんな風にしていると、お腹が減るということが一種の行事になり、
それに応えるために料理を作ったり、お店に行ったり。
それが楽しくなってくる。
当たり前のことだけど、楽しめなくなる時もあるのだ。
きっちり時間通りに食べることが必ずしも良いとは限らない。
幼少時の学校教育から既に間違っているのだ。
正解は喰いたいときに喰う。
でも、子供に教えるのは止めておこう。
なぜなら野性化してしまうからw
野性化するのを防ぐために学校教育があるのだとしたら、とても合理的な近代システムだと言えるが、
そもそも僕は合理的な近代システムというのが嫌いだ。
合理的であることが最上、なんて思想は本当にくそったれだと思う。
話が逸れた。
徳島といえば四国。四国といえばうどん、ということで、
丸亀製麺に寄ることにする。
徳島ラーメンの店は閉まっていた。
丸亀といえば香川だが、徳島でも丸亀製麺は盛況である。
店員に注文を伝え、麺を茹でてもらい、セルフでお盆に汁や具材を乗っけていくのだが、
今回は丸亀イチオシの肉付けうどんを頼んだ。
季節限定(9月上旬まで)のうどんで麺は通常の1.5倍。
肉はもちのろん、で牛肉。
タレは甘辛い味つけだ。ラー油が効いている。
まずは刻みノリとネギをタレに突っ込み、牛肉をほおばる。
旨い。
間違いない。そんな感じ。
麺はしこしことコシのある麺。
讃岐うどんといえばコレだよな、とそっと頷く。
ふと見ると、一人で来ているおじさんが周りのファミリー客の方をちらちらっと見ていた。
なぜか気になるようだ。
ぼくも一人で入ったのだが、妙におじさんの方が気になる。
おそらくは常連であろうおじさんは、ほぼ初見で来た時のようによそよそしい。
もしかしたら、僕のように旅のついでに寄ったのかもしれないが、その可能性は低いように思えた。
近所の人だったらちょくちょく寄るだろうに、なぜそんなに人見知りなのだろうか・・・?
一人が心細いのか、そんなおじさんを見る、やはり一人客のぼくはやっぱり心細い存在なのだろうか?
そんな事をぼんやり考えながら麺をすすると、甘辛いタレにラー油がぴりりと舌に響いた。
残らず食べ尽くし店を後にする。
帰ってみると、またもや来客が。
「今日は玄関でたまたまばったり会う日だな・・・。」
そんな風に思っていると女の人が入ってきて、「松井君~~!!」
と大声で呼ばわるではないか。
どうやらギーズミの関係者の方らしい。
敷島さんというその人は松井君と何やら話を始めたので、ぼくは居間でテレビでも見ることにした。
どうやら松井君の恋愛相談に乗ってあげているようだが、何やら楽し気だ。
敷島さんがブッキングしたというデートの相手といいところまでいったのに、特に何も無く終わったのが不満だったのか、
敷島さんは松井君の煮え切らない態度に業を煮やしたようだ。
「男だったらいくときゃいかんかい!」
そんな啖呵を切る感じではなかったが、言外にそういう事を言おうとしているのだろう。
松井君は阿波踊りの期間中に来ていた、中村静香の方が好きなのだという。
アイドルの方が好きという事はそれほどピンと来なかったのだろうか?
ともかくもこういった恋愛話は面白い。
そんな感じでしばらくテレビを見ていると、
管理人の富永さんが佐々木君を連れて帰ってきた。
一通り自己紹介を終えた後、敷島さんが買ってきた花火をしよう、という事で表の駐車場に出る。
みんなもくもくと花火を楽しんでいる様子が良かった。
時に2刀流で、ぶんぶん火花をまき散らしている人もいたがw
基本、夏の終わりにする花火は寂しいものだが、5人集まると賑やかだ。
ロケットや打ち上げ花火があるともっと楽しいものだが、住宅街でそれをやると近所迷惑になる。
ましてや高齢者向けの施設が向かいにあるから、あまりの轟音に驚かれてはいけない。
そんな感じでそれほど騒ぐこともなく、厳かにひっそりと線香花火で締めくくったのだが、面白かった。
その様子は松井君のツィッターに載せてある。
さて、それでは宴会スタート!
ということで、敷島さんは旦那が待っているということで帰り、
男4人で飲み会がスタート。
さくらんぼか杏か、よく分からない果物を付けた果実酒で乾杯。
ぼくがマルナカで買ってきたビールもある。
特に猥談をするわけでもなく、ギークハウスや藍住周辺で起こったことなど、
興味深い話をしていただいた。
中でも富永さんが東京で消耗して徳島にUターンして帰ってきて、一時期ニートになるまでの話が面白かった。
富永さんはそこでPHAさんの本に出会い、ギークハウスの存在を知ったという。
そして、その頃森さんと出会い、ある集いで松井君と出会った訳だが、数奇な運命である。
考えてみれば、人と人の出会いというのは偶然の産物なのだが、
運命、と形容したくなるような経緯というのがあって、物語としてそれは語り継がれていく。
こんなギークハウス真庭から来た2人とギークハウス藍住の3人との出会いも語り草になるのであろうか。
まぁそれはないか。
ともかくも、男たち4人の宴は夜遅くまで続いた。